初めてなのに、なぜか親しみを感じる不思議
はじめに:知らないものより、知ってるものを選ぶ
「あ、見たことある!」が大事な理由
たとえば:駅前のパン屋さんのおぼえ方
知ってもらうにはどうしたらいい?
何回もくり返し目に入ることがコツ
まとめ:やさしくて強い「何度も」の力
はじめに:知らないものより、知ってるものを
あなたがアイスクリームを買おうとした時、並んでいる商品のひとつは「初めて見る名前」、
もうひとつは「よくCMで見かける名前」だったら…どちらを手に取りたくなるでしょう?
多くの人は、「あ、知ってる!」と感じるほうを選びます。
理由は、人は “知らないもの” より “知っているもの” に安心感を持つからです。
知っていることで頭の中に一定の「イメージ」があり、
この「知ってる!」と感じてもらえる仕組みこそが、ブランディングの大きな力です。
「あ、見たことある!」が大事な理由
お店や商品を選ぶとき、人は頭の中にある “知ってるリスト” から選ぼうとします。
コーヒーを飲みたいなと思った時、頭の中に「スターバックスにしようかな
「コンビニコーヒーにしようかな」「自動販売機の缶コーヒーにしようかな」と、
頭の中に選択肢のリストが浮かぶと思います
このリストのことを、専門的な言葉で「エボークトセット」と呼ぶこともあります。
カンタンに言うと「パッと思い出せる選択肢」のことです。
リストの中にあなたのお店や商品が入っていれば、選ばれる確率がぐんと上がるのです。
過去の調査から選択肢の数はおよそ3つとも言われています。
たとえば:駅前のパン屋さんのおぼられ方
ある日、駅前に新しいパン屋さんができました。
名前は「こむぎの風」。
初めて目にした時は、「ふーん、パン屋さんか」と通り過ぎるだけ。
でも…
次の日、駅のポスターでも見かけた
SNSで誰かが写真を投稿していた
自宅のポストにお店のチラシが入っていた
しばらく何度も見たり聞いたりしているうち、
ある朝パンを買おうと思ったら、「そうだ、あのパン屋さんに行ってみようかな」と思うようになるのです。
これが、「知ってる!」という気持ちの作り方です。
知ってもらうにはどうしたらいい?
では、どうすれば「知ってる」と思ってもらえるのでしょうか?
いくつかのやり方をご紹介します。
① 同じ見た目をくり返す(ロゴ・色・文字)
見るたびにちがう見た目だと、覚えてもらえません。
お店のロゴや使う色はできるだけ同じにすることが大切です。
② いろんな場所で見てもらう
看板だけじゃなく、チラシ・SNS・パッケージ・名刺など、いろんなところで同じ「顔」を見せることで、見た人にだんだん親しみが湧いてきます。
③ 名前やメッセージをくり返す
「笑顔がつながるパン屋です」「毎朝しあわせな気持ちになれるコーヒー」など、自分らしい言葉をくり返し伝えると、そのブランドの “歌” のようになっていきます。
何回もくり返し目に入ることがコツ
人の頭の中で印象に残るには、一度では足りません。
3回、5回、7回……と、何度も目にすることで「見たことある!」と記憶に残ります。
これを少しだけ難しい言葉で「フリークエンシー(=頻度)」と言うこともありますが、意味はカンタン。
「思い出してもらうには、なんども会うことがいちばんの近道」なんです。
まとめ:やさしくて強い「何度も」の力
ブランディングというと、すごく目立つことをしなきゃいけないと思うかもしれません。
でも本当は、「じっくり、くり返し、やさしく思い出してもらう」ことが、一番しっかりしたブランディングです。
何度も、同じ笑顔で、「こんにちは」とあいさつされると、なんだかその人のことが好きになってくる。ブランドも、それと同じです。
ただし、気をつけなければいけない大事なことがあります。くりかえすことが「一方通行」だけだと力が十分ではありません。
一方通行のメッセージだと、相手がすべて信じるとは限らないからです。誰か別の人からも伝わっていくこと、よく言う「口コミ」の
力も大切になっていきます。
🌱さいごにひとこと
「知ってる!」というのは、「好き!」の入り口です。
あせらなくて大丈夫。
何度もくり返して、ゆっくり知ってもらえば、きっとあなたのブランドも
「あ、知ってるよ」と言ってもらえるようになります。